リュウセンを終えて

2015 10/31・11/1 劇場やまびこ座での「リュウセン」公演は、両日とも満員のお客様にご観覧いただくことができました。

ミュージシャンとして

オープニング曲ほかいくつかの場面の楽曲を担当しました。おかげさまでちらほらと好評をいただき、うれしい手ごたえです。

今年はピアノを重点的に練習してまして。今回それを活かすことができました。クリックに頼らずのびのび演奏して、あとの編集はざっくり、これでOK!…そんな曲がいくつかあって、プレーヤーとしてのリハビリ効果も実感できてます。

クラシックの基礎もなく、プレイで魅せられるような腕はもちろんないけれど、場面の雰囲気や登場人物の心の動きを音で表現するのが、やっぱり大好きなんです。これからも舞台の音づくりがやりたい!そう思えました。

音響スタッフとして

プレイバック音源全曲の舞台用マスタリングと、本番の音響オペレートを担当しました。「作った音を自分で舞台で出す」のはとっても贅沢な体験。なかなかできることでもなく、ありがたい機会に恵まれました。
本番のための機材手配から仕込み、リハーサルなどでは、プラスワンステージのNさんや皆様をはじめ、出演者ご父兄のPAエンジニアのNさん、ホールのKさん、音楽仲間のQなど多くの方にサポートいただきました。心よりお礼申し上げます!

以下、音響に関してあーだこーだ書きます。本業にされている方はいちいち書かない些細なことばかりかもですが、自分のような者にはめったにない機会ですので、記録として。。

Shikomi-Zu

 

プレイバック音源のマスタリング

和太鼓、鳴り物、篠笛、カホンの生演奏と、DTM制作のプレイバック音源を織り交ぜられた今回の舞台。DTMで制作された楽曲は、半数が16bitで納められましたが、全曲24bitでマスタリングしました。

劇場では、一般家庭の音響機器よりずっと抑揚の豊かなダイナミクスを持った再生が可能です。場面によって、楽曲や効果音は規定レベルいっぱいで流すこともあれば、うっすら流すこともあります。40dbくらいの幅があるでしょうか。楽曲のデジタルデータとしての分解能を犠牲にせずダイナミックレンジを大きく使うため24bitにしました。

また、小さい音量の曲ほど、繊細なフェーダー操作でのインアウトが求められることが多いもの。初めから音源を小さく書き出しておけば、あらかじめ下げた分だけフェーダーのストロークが確保でき、スムーズなフェードができます。

1曲を1トラックとして全曲をProTools上に並べ、「本番の舞台でホールのスピーカーから鳴らした音」のダイナミクスをイメージしながら、曲ごとの音量を相対的に(下げ方向で)調整し決めていきました。

PAについて

生楽器と音源をうまく馴染ませつつ、鍾乳洞の奥に広がる地底湖を思わせるウエットに響く音にしたい。という理由で、今回は和太鼓も含めてPAし、また残響音(リバーブ)も積極的に使ってみました。
泉のシーンでは、集音マイク(PCC、ガンマイク)の音をにリバーブを足し、奥のマイクほど深くかかるよう設定して鍾乳洞 の奥行きを表現しました。

今回のホールはステージ上下と観客席後部にそれぞれ8chのマルチの回線がありますが、これでは足りません。16chマルチを観客席後部の音響ブースから調整室まで引っ張り、パッチ架を介して両袖のマルチとつなぎました。

ホール常設のPAシステムは調整室のHIFAX製のマトリクス付大型アナログ卓に直結されています。透明プラの治具で物理的にくっつけたギャングフェーダーが懐かしい雰囲気。音響ブースからの出力は上の卓にいったん立ち上げ、各スピーカーに割り当てます。

和太鼓をPAする件について

本来和太鼓はPAが不要です。でも今回はプレイバックの音源と馴染ませるため、リバーブを付加するためマイクを立てPAすることにしました。

和太鼓のとくに径の大きいものは、そこらのスピーカーでは再現できないくらいのパワーを持ってますね。特に低音域、もはや音ではなく波動とでも言うような震動、もろに地響きのような低周波。音の芯は実物から十分に出ているわけですから、PAでは太鼓の音は大胆にローカットして、倍音やバチが太鼓の皮に当たるアタック成分を狙い、それに響きを加える役割を受け持たせました。

舞台上の演奏ブースには、2本のマイク(AKG C451)を美術バトンに吊っています。ドラムセットのタムのように並べられた桶胴、宮太鼓、締太鼓で構成される組太鼓のライン上にちょうど美術バトンがあり、LRに振った2本のマイクは、ほんのりとステレオ感も付加してくれました。

その他のマイキング

鳴り物には専用のマイクを立てましたが、これは主に神楽鈴の集音が目的です。和モノの音楽でよく聴かれる神楽鈴の「シャーン」と響く神々しい音は、現実には「シャン!」と歯切れ良く、音量も太鼓と比べれば大きくありません。ディケイを長めにしたプレートリバーブをチャンネルにインサートし、ドライ音とミックスして出力しました。

カホンは和太鼓と比べると音量が小さいですから、しっかりPAしました。今回は一般的な楽器用マイク(Shure SM57)をホールに挿しこみ、打面を裏から狙いました。和太鼓との共演という点を考慮しつつEQとコンプレッサーで音を作っています。

音響卓のチャンネル数の都合、三味線、カホンのスプラッシュシンバル、篠笛をマイクを1本で共用し、転換時に演奏者自身にマイクアレンジをお願いしました。音づくりは一番オンマイクで使うことになる三味線を基準に行い、軽いコンプレッションがかかっているほか、篠笛の時はリバーブの送りを増やす操作をしていました。

オペレート

音源はMacにインストールしたNI Traktor Proでプレイバックしました。ポン出し(タタキとも言います)は別のスタッフが担当してくれて、息を合わせながらのオペレートでした。
場面ごとにチャンネルごとのリバーブの送りレベルを都度変更していたので、本番中は手を休む暇なく大忙し。当日使用したデジタ ル卓をもっと熟知していれば。。そのためのシーン切替え機能でしょうに・・・。

バラシ

音響は専属スタッフが自分のみだけど、演奏者や撮影スタッフさんなど皆さんにお手伝いいただき速やかに完了しました。片づけが苦手なのが出てしまいます。今後の課題も見えました・・・。

 

※以上、音響関連で誤りやより良い方法などありましたらご指導いただければ幸いです。

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