架空の映画「心のアンテナ」の1シーン、地下鉄駅の爆破テロの場面の音楽です。
それはもうかなり激しく、狂気な感じを出そうと思っています。
もともとは、主人公がテレビのニュースを見て、待ち会わせしていた彼女を捜しに現場に向かうところだけ音楽を作る予定で、Q太郎が作ってくれていました。その後、雑誌「かねあいの穴」に連載した似非小説を書いた時、主人公の恋人が爆発に巻き込まれる場面を書き加えたので、その部分も作る事にしました。Q太郎の作品をもとに、俺のアイデアと新展開を付け加えるかたちで進めています。合作です。
もともとエスニックな音楽が好きなのもあって、アジア〜中近東圏の音楽の要素を取り入れようとしていました。なぜそっちの方かと言えば、そういうイメージを持っていたからです。
なぜ。それを語れるほど俺は何も考えていないし、感じていないのかもしれない。言えば言うほど書けば書くほど無責任になってしまう。
このまま深く考えず進めてはいけない気がして、今いろんな事を考え、思っています。
約60年前に、軍事作戦として体当たり攻撃をした(命令した、命令された)日本人。
また、現在も遠くの国で、唯一の神様を信じて、行動を起こす「殉教者」がいます。
正規の軍事行動も、一般人をターゲットにした非正規戦闘員のテロも、どちらも「人の死」です。
遠い昔に起こった死と、遠い国で起こっている死。どちらも遠くだけど、死。
自爆って何だろう。カミカゼって何だろう。それを行う人、それを受けた人、残された人、その背景。
そういう事を考えると、恐ろしく悲しくなってしまいました。
YouTubeで日本軍の体当たり攻撃の映像を見ました。その中で遺書の一部が読み上げられます。
その兵士には小さい娘がいて、その子に語りかける手紙でした。お守りに、娘の玩具だった人形を飛行機のコックピットに下げて、敵艦めがけて体当たりしたのです。敵艦にも人間が乗っています。
架空の映画サントラの構想を練っていた時期、外国で大きな無差別テロが起きました。それはちょうど、俺の(当時の)彼女の誕生日でした。
自分の恋人が誕生日にそんな事に巻き込まれたことを想像して、恐ろしく、いても立ってもいられなくなりました。怖い。嫌だ。本当に勘弁して欲しい。
そんなことを思ったのが、この「心のアンテナ」の原点のひとつでもあります。でも、あくまでも、原点の一部。それをテーマにものづくりはできません。もうどう考えたって重すぎる。そして、そんな曲を作って、誰に聴かせられるだろう。無理です。当事者でもないのに。仮に当事者だったら何をするだろう。そんなの想像しきれることではないです。
所詮、映画やテレビでしか、それを知らないのです。ほぼ、「物語のなかの死」しか見た事が無い。
アンテナのテーマは、別の、もっと身近な、俺自身が身をもって感じ、受け止められることを中心にしています。
俺が書いた「心のアンテナ」はフィクションです。実在する事件、団体、人物とは関係ありません。
書いていない部分も、書いていないのだから存在しません。
それ以上でもそれ以下でもない、想像の産物。
俺はあくまでも、楽しめる作品を作ります。娯楽作品です。
現実の世界で、戦争やテロでたくさんの人が亡くなり、大事なものを失って、悲しんできました。今も世界のあちこちで続いています。
その事を、少なくとも、心の片隅において、つくることにします。
ほんの少しの短い時間かもしれないけど、宗教とか民族とか関係なく、お祈りをしました。